合縁奇縁~女は欲張りな生き物なのです
「はぁ……」

森山が大きくため息をついた。

「柏木さんて、ほんと仕事人間ですよね」

「なに? 悪い?」

「いえ、別にそういう意味じゃ……でも、なんか、付け入る隙が見つからないっていうか……」

鎧を身に纏って何が悪い。

それがアラフォーの女道よ。

人よりどれだけ抜きん出るか、あたしはそれに命かけてるっての。

それで、この五年をやり過ごして来たんだから。

ビルの外へ出て、地下鉄の駅へ向かって歩き出したところへ、後ろから声を掛けられた。

「柏木主任! 森山!」

振り向くと、白石が追って来ていた。

「業務課から伝言。今晩七時から、いつもの居酒屋で木村課長の歓迎会。部長が出るから、強制参加だそうです」




悪夢再来。




どうあっても、あたしは奴から逃げられないらしい……
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