合縁奇縁~女は欲張りな生き物なのです
あたしは、子どもに無関心な両親の元、弟と必死に家族の形を守って生きてきた。

決して不幸ではなかったと思うけど。

幸せな家庭とか、愛する人の子どもを産みたいとか、そんな当たり前の感情を持てないまま女になった。

仕事一筋で、男の庇護の下に入るなんて真っ平ごめん、そんな可愛くない女のあたしを愛してくれたのが雅樹だった。

でも、雅樹には奥さんがいて、

あたしも彼の家庭を壊してまで結婚とか子どもとかに執着する気は毛頭なくて。

そんなあたしが、今、

雅樹の子に乳を含ませながら、守るもののある幸せにに酔いしれている。

人生って、ほんとわからない。
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