合縁奇縁~女は欲張りな生き物なのです
あたしは、仕方なく、着信記録からあいつの番号に電話をかける。
「もしもし、柏木です」
「嗚呼、オフのとこ悪かったな」
「何でしょう? 仕事の用事って?」
あたしは冷静を装い、ビジネスライクな受け答えを決め込んだ。
「嗚呼、来週、岩崎興産へ同行させて貰いたい。例のエラー検出プログラムの説明だ。その後も、丸菱電気、北山環境開発……お前の担当に順次同行させてくれ。スケジュールは任す」
「そんな連絡なら、会社で済むんじゃ……」
「だって、お前、席にいないから。取り付く暇もあったもんじゃないだろ。そんなにあからさまに避けなくてもいいだろ」
「だって……」
と、言いかけて気がついた。
不味い、引き込まれるって。
「もしもし、柏木です」
「嗚呼、オフのとこ悪かったな」
「何でしょう? 仕事の用事って?」
あたしは冷静を装い、ビジネスライクな受け答えを決め込んだ。
「嗚呼、来週、岩崎興産へ同行させて貰いたい。例のエラー検出プログラムの説明だ。その後も、丸菱電気、北山環境開発……お前の担当に順次同行させてくれ。スケジュールは任す」
「そんな連絡なら、会社で済むんじゃ……」
「だって、お前、席にいないから。取り付く暇もあったもんじゃないだろ。そんなにあからさまに避けなくてもいいだろ」
「だって……」
と、言いかけて気がついた。
不味い、引き込まれるって。