合縁奇縁~女は欲張りな生き物なのです
リビングのゴミを、大きなゴミ袋に詰め込み終え、あたしはカップに注いだインスタントコーヒーにミルクを注いだ。

「お前、食事は?」

「あたしは、白石と豪華フレンチディナー食べてきたから」

「って、何だそれ? まるでデートだな」

「そうだよ、最初で最後のデート。
でも、あんまり詮索しないで。
白石にも色々事情があるんだからさ」

「白石には、大きな借りができちまったな」

「そうだよ、だから話して。
白石が言ってた。
あなたは先月、妻子を東京に呼び寄せるつもりで、寮を出てこのマンション移ったって。
それなのに、突然離婚したって」

「俺自身、何が起こったのか、何が起こっていたのか、まだきちんと整理がついてない。
だから、まあ、この半年あまりの出来事を順を追って話すことしか出来ないんだが……」

「いいよ、それで。話して」

「夏前から、どうも晶子の様子がおかしかった。電話口に真樹を出そうともしないし、盆休みも保育園の友達と旅行に行くから帰ってこなくていいとか言い出す始末で。なんとか都合を合わせて、二日だけ帰ったんだが、真樹の様子もおかしくて。なんか、あの家に俺の居場所がなくなったようなそんな違和感を覚えたんだ」

「で、家族を東京に呼ぼうと」

「最初は半年か長くて一年のつもりでいたんだが、どうもこのプロジェクトの収拾も長引きそうだったし。お前との関係をはっきりさせる為にも、その方がいいかと思った」

「うん」
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