合縁奇縁～女は欲張りな生き物なのです

「その男が真樹の本当の父親だって、晶子のやつぬかしやがった。おまけに、もう一人、お腹の中にそいつの子がいるんだと」

「え……」

「だから、今度こそは、そいつとちゃんとした家庭を持ちたい。だから、離婚してくれって」

「う、そ……だって……」

だって、あたしと雅樹は、真樹ちゃんの為に別れたんじゃなかったの？　

雅樹は自分の子共に責任を持つため、あたしとの関係を諦めたんじゃなかったの？

「その男は、晶子が不妊治療に通ってた病院のインターンだそうだ。五年前、そいつの子を妊娠した時、晶子は誰にも黙ってその子を俺の子として産んだ。だが、晶子が大阪に戻ってからも、その男は晶子を大阪まで追いかけてきて、関係を続けていたんだ。今、そいつはもう立派な医師で、そいつも晶子との結婚を望んでいるらしい」

「でも、だからって、真樹ちゃんが雅樹の子でないと断言できるの？」

「俺と晶子は、もうこの十年、肉体関係はないよ。不妊治療を始めた時から、晶子は俺とのセックスに違和感を覚え始めて、俺のことを受け付けなくなった。真樹だって、体外受精で授かった子だと聞かされた。馬鹿だよな、俺も。冷凍保存した精子を使ったって言われた時点で、もう少し突っ込んで晶子と話し合うべきだった」

「そうだったんだ……」