~Night Story~或る新人ホストの物語
「マオ、キャッチいくぞ」




一通りの仕事を覚えた頃、社長に連れて行かれた




残暑の残る街は、それでも夜になると心地良い風が吹いていた




「マオは取りあえず人に声をかける練習からだ」






時刻は午前0時を回っていたが、人の流れは全く途切れなかった





人見知りの激しかったオレは最初は全く声をかけられなかった





「普通に話せばいい」







じゃあ何話す?






どんな風に?







水商売に今まで関わった事のないオレは、何もかも分からないまま街の真中で佇んでいた





女なんて勝手に寄って来てたから、今までナンパなんかした事はなかったし、声かけたトコでどうしろと…





それでもこの日3桁の女に声をかけた




普通に飲みに行かないかと誘ったり、世間話やファッションの話、時にはナンパ紛いの会話…




「最初はそれでいい」


そう言って社長が帰還命令出した頃にはもう閉店間際だった―
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