金曜日の恋人
「ない方がかわいいのにな」


私にメガネをかけようとする。


「やめてよ」


カエデの手をはらいのけた。


「ずいぶんだな…俺たちフツーのあいだじゃないのに」

「……」


そんなふうに言わないでよっ


「あの日も黙って帰っちゃったよね」

「お願い…忘れてほしい」

「それはできない」

「どうして?」

「都合良すぎる」

「……」


わかってる

でもみんなに知られたら困る


「俺は誰にも話さないよ」

「え?」

「そのかわり…」

「……?」

「金曜日だけ恋人にならない?」

「……!?」


なに言ってんの?
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