金曜日の恋人
忘れ物を取りに詰所に戻ろうとしたら


「朝倉サンってどんなタイプが好みなんですか?」


そんな声が 耳に飛び込んできた。


私は思わず立ち止まった。


「俺?そうだな〜」

「葉山サンみたいな人は?」


いきなり自分が引き合いに出されてドキッとした。


息を殺して朝倉サンの反応に耳を澄ます…


「ん〜俺的にはもっと か弱い女の子がいいかなぁ」

「わ〜絶対 葉山サンはバツだ〜」


私は バツ…


「葉山は頼りがいあるもんな〜強いやつだよ」


私が 強い…?


「葉山サンは一人でも生きていけるタイプだよね」

「そうだね。もしかしてまだバージンだったりして」

「かもよ?」

「やだぁ〜でもそんな感じ〜」


部下たちの嘲笑に消されて いつしか朝倉サンの声は聞こえなくなっていた。


でも その笑いの渦に彼がいたことに間違いはない。
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