金曜日の恋人
二度目の関係
現場の仕事は何よりも実践で覚えてもらうのが一番。


私生活はともかく 経験三年目を豪語するカエデの介護っぷりには少し興味があった。


あまり期待はしていないけど



カエデと二人 デイルームで利用者の見守りをしていた。


ショートステイの山下さんが落ち着かない様子で うろうろしはじめた。


軽い認知症がある。


「私 家に帰りたいのよ。主人が心配で」


私に訴えかけた。


いつもこんな感じではじまる山下さんの帰宅願望。


山下さんの旦那様はすでに亡くなっている。


だから家に帰ってもひとりぼっちだ。



「お茶でもいかがですか?」


「なにか甘いものでも召し上がります?」


気を紛らわせようとした。


あの手この手も通用しない。


よほど心配な様子。


表情もだんだん険しくなってきた。
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