腐女子とナル男の奮闘記。
「お嬢!!俺と付き合え!!」
…………は。
教室が一気にざわめく。その9割は女の悲鳴。
こいつ根っからの馬鹿だとは思っていたが本当に馬鹿だった、アホだった。残念ですがもう助かりません。
こんな人前で堂々と告白するなんて相当自分に自信でもあるのか。
少なくとも冬夜様と同じ名前だったら、ありんこくらいは許した。
そして冬夜様と同じ顔だったらもう少しくらい許した。
が。
目の前にいるのは全然違う咲夜様とも冬夜様とも似つかない顔。
俺っていけてるだろ?!って台詞を全面的に顔に出している顔。
とりあえず…
「うざい。つーか馬鹿は嫌い」
案の定男はびっくりした顔をしている。そして周りも驚きの声をあげる。
きっと今まで"うざい"とか"嫌い"とか言われたことはなかったのだろう。
男は黙っていたが、しばらくすると口を開いた。
「まずはお互いの事知ってみないと分かんねぇじゃん?」
そして得意げに笑った。周りの女子にフェロモンを振りまきながら。