腐女子とナル男の奮闘記。
「お嬢!音漏れしてるから!聞いてないのバレてるから!!」
実は昨日雅巳さんにサインをしてもらったあとに、目覚ましに録音もさせてもらった。
恐る恐るお願いしたら、満面の笑みで「僕なんかの声で良ければ、全然構わないよ」と言ってくれた。
とりあえず、あなたの声だからいいんですよおお!と、叫びたいのを堪えた。
そしてあのビューティフルヴォイスから清々しい朝が始まったのに、今あんな騒音を聞いたら耳が腐る。
つまり結論──シカト。
「お嬢……おはよう」
──ピクーン。
大音量で音楽を聞いていても、あたしの耳はしっかり反応する。
いや、きっと寝ていても、100m離れた場所から囁かれても、ブラジルから言われても!絶対に反応する。
もちろん振り返ったそこには──……
「雅巳さん、おはようございます」