腐女子とナル男の奮闘記。
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「お嬢!お嬢ったら!一緒に帰ろうぜ?」
廊下を歩くあたしの横にくっつく男、柊権太。
「帰らない気持ち悪いついてくんな」
「んなこと言うなって!
ホラ!お嬢に何かあったとき家に駆けつけたいから、家の場所知っておくべきじゃんっ?☆」
「ストーカー」
あたしの言葉にもヘラヘラとしか反応しない。
こいつの図太さには感心する、が迷惑な話だ。
「…?」
と、急にあたしの肩がふわっと軽くなった。
──見るとバッグが消えている。
嫌な予感がして隣を見ると、満足気な顔をしてあたしのバッグを抱えた奴がいた。
「おい…」
「ん~?♪」
「ん~じゃない。バッグ返せひったくり。女子高生の鞄マニアか?お前は、気色悪い」
手を伸ばしてみるが、背の高い奴からバッグを奪えるわけもなく、ニヤリと笑ってこっちを見てきた。
「死にさら「俺はお嬢マニア!残念だったな!!
それにいいじゃん。送らせろよ。つーか問答無用、送る」
そう言ってスタスタと歩き出す。
もう何言っても無駄だな、と思ったあたしも諦めて歩き出した。