わたしと保健室と彼~4つのお題+α
カラリ、と静かな音を立てて開いた保健室の戸。
革靴を鳴らしてこちらに近づく人の気配。
あたしの寝ているベッド横のカーテンが、開けられる音が響く。
その全てを自分の嗚咽の合間に聞きながらも、うずくまったまま顔は出さなかった。
「何よ。あたし、戻らないからね」
横に立っているであろう人物に、鼻にかかった声でそれだけ告げる。
上から降ってくる、呆れたような溜め息。
「分かってますよ。今担任の先生に暫くこちらで休むと伝えてきましたから」
「え…」
返ってきた言葉に驚いて、思わず毛布から顔を出した。
てっきり、具合が悪くないなら教室に戻りなさいとか言われると思ったのに。
「その顔じゃあ、とても授業なんて受けられないでしょう?」
微笑んだ拍子に耳に掛けた柔らかな髪がこぼれ落ちる。
「どうせブスです」
只でさえ良くない顔が、泣きすぎで真っ赤になって目も腫れぼったくなってるのは、自分でも分かる。
サラサラの長めの髪に線の細い中性的な綺麗な顔したこの保健医には分からないだろうけど。
睨み付けると、先生は困ったように眉を下げた。
「そういう意味ではないですよ」