わたしと保健室と彼~4つのお題+α


 愛する人……?

 本当に?
 本当に、信じていいの…?


 不安に揺れる瞳で見上げた先生は、いつものように微かに笑んでいた。


「隣にいます。何かあったら、呼んでください」

 それをあたしの体調不良からだと思ったのか、そう言ってドアの奥へ消えた。


 隣?
 寝室の隣は、…先生の書斎――


「――っ…」


 ギュウっと胸の奥が締め付けられる。
 胸元で握った手が、震えるほど。

 さっき、先生の書斎で見つけた――お見合い写真が、蘇って。

 朱色の艶やかな振袖を着た、さっぱりと綺麗な顔立ちをした大人の女の人が、写っていた。


 信じたい。
 信じたいんだよ、先生のこと……!

 でも、胸の中がモヤモヤしてどうしようもないの。

 だって先生は、大人で。
 あたしは訊きたい事も訊けない子供。

 本当なら、あたしみたいな女子高生じゃなく、先生の隣が似合うのは――、


 お見合い写真の女の人が、また脳裏を過る。


 ……こんなの、あたしらしくない。
 ウジウジと悩んで悶々として。


 意を決して、ベッドから起き上がった。



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