恋して日和
Case00
scene1:藍子の場合
『クレオパトラの鼻がもう少し低かったら、世界の歴史は変わっていただろう』
とかなんとか言うけど、そんなんで本当に世界って変わるの?
とか、なんとかぼんやり考えてた16の春。
ゴンッ!!
「痛っ!」
「あ、悪い‥。はいコレ。」
そう言って、自分が肘鉄食らわせたあたしにティッシュを差し出すと、そいつはさっさといなくなってしまった。
少しして、やっと自分の鼻から血が出ていることに気付いて、ティッシュを渡された意味を理解する。
ティッシュを鼻に詰め込んで、不意に桜散る空を見上げた。
なんだか、世界が変わったような気がした。