キライ
「やれば出来るじゃん」

ふん!
やっぱり偉そうじゃない。
一瞬でもいつもと違うなんて思った事を後悔した。

「あんたに借りがあるなんて嫌だからね。キッチリ返すだけ」

「いい心がけだな」

私の頭をぐしゃぐしゃと掻き回す。

「もう!」

せっかくブローしたのにと憤慨しながら慌てて髪を直す。

「大して変わりねーだろが」

笑いを含んだ大迫の声に私は下から睨みつけた。

「全然違うもんっ!」

やっぱり、こいつは意地悪だ!

仮にでも、こんなのが私の初めてのカレシだなんて…自分の不運を呪っちゃいそう…。

願わくば、出来るだけ早く大迫が私を解放してくれますように…。

何に祈ればいいのかわからなかった私は空を仰ぎ見た。
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