キライ
大迫は睨む私の頭を手のひらでグリグリしながら涼子を見る。

「まっ、そういう事だからヨロシク」


大迫の明るさとは反対に、暗い雰囲気の私を見て涼子は首を傾げた。




「ごめんね。涼子はお…廉の事好きだったんでしょ?」

申し訳なくて涼子の顔が見れないよ…。

「えー?驚いたけど私は単なるファンだからさ」

明るく笑う涼子に救われた気がした。

こんな涼子に嘘ついてるなんて自分が情けないよ…。

「ホントにごめん…」

精一杯の謝罪の気持ちを込めて謝った。

「気にしないの!私の事なんかより本気で大迫好きだった子もいるからね。気を付けるんだよ」

涼子ってば私の心配までしてくれて…。
持つべきものは友達だよね。

「うん。気を付けるよ」

僅かに微笑む私に涼子が耳打ちした。

「愛があれば乗り越えられるよねっ!」

いや!
愛は全くないからっ! 

大声で叫びたくなったその言葉をグッと飲み込んだ。
< 15 / 73 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop