キライ
どうかした?と思ったとたん後頭部から小気味いい音と鋭い痛みがした。

「痛っ!」

後頭部を押さえ体ごと後ろに向くと、丸めたプリントの束を手に目を細めて私を見下ろしている大迫がいた。

「何でかい声で人の悪口言ってんだよ」

「だからって叩く事ないでしょ!」

あぁっ!
顔見るだけでムカつく!

「ちんちくりんに性格悪いなんて言われる覚えはねーよ」

また、ちんちくりんって言ったー!

確かに私は背が小さい。

自分がでかいからって偉そうにっ!

「私だって性格悪男にちんちくりんなんて言われる覚えないもん!」

私と大迫の睨み合いに涼子はオロオロするばかり。

「口の減らない奴だな」

どっちが!?

私は勢いよく顔を背けて、大迫と話したくない事を全身で表現した。

「前田、今日、日直だろ?これ先生から預かってきた」

大迫は涼子に私を殴ったプリントの束を渡すと、私の頬をグニっとつねった。

「減らず口にはお仕置きだ」

痛いっ!

でも、声に出すと大迫に負ける気がしたからグッと我慢した。

ヒリヒリする頬を擦りつつ、心の中で思い切り叫んだ。

『性格悪男めっ!いつか泣かしてやるっ!』
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