キライ
「お前さぁ、他の男と仲良くしてんなよ」

本物のカレシでもないくせに干渉しすぎ。

「大迫にそんな事言われたくない」

ブスッっと言い返す私に大迫も同じく不機嫌に言い放った。

「名前」

「別に二人なんだから名前呼ぶ必要ないでしょ」

「明日も待ってろよ」

「あのさー、いくら借りを返すっても大迫のためばっかに時間割けないよ。私にだって色々あるんだから」

冷たく突き放す私の顔を大迫はマジマジと見た。

「何よ?」

「いや…そうだよな。悪い」

いやに素直だな。
それはそれで気持ち悪い。

「でもさー…、大迫も大変だよね」

大迫の環境に少し同情していた私はつい口に出してしまった。

「何が」

またしても不機嫌な声に戻った大迫。

「いや、あれじゃホントのカノジョってなかなか出来ないだろなって…」

あぁ…と小さく呟いて私に訊ねた。

「何かあったのか?」

心配してくれてんのかな?

私は横に首を振った。

ホント、大迫ってわからない。
いつも通り偉そうかと思えば、時折私を気遣う様子も見せる。
そんな大迫に私はただ戸惑うばかりだ…。
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