キライ
もうこんな時間に残ってる生徒なんてほとんどいない。

残ってるとすれば後片付けのマネージャーぐらいじゃないの…?

あぁ…、やっぱりマネージャーなのかな…。

マネージャーの勝ち誇った表情が思い浮かぶ。

泣かずに最後までいれるだろうか…。

「こっち」

私の思いを知らない大迫は体育館に入り、渋々私も付いていく。

「誰だぁ?片付けてないの」

隅っこに転がってたバスケットボールを拾って軽くドリブルをした後シュートする。

ボールは綺麗な放物線を描いてゴールに吸い込まれていった。

ボールの落ちた音が体育館に響きフェードアウトしていく。

立ち尽くしている私に大迫がボールを投げてよこした。

反射的に受け止めて大迫を見るとゴールを指差す。

体育以外でバスケなんてやった事ないから入るはずないって思ったけど、さっきの大迫のフォームを思い出しながら投げてみた。

ボールはゴールの輪っかの前に当たり鈍い音がして変な方向に弾かれた。

それを大迫が受け止めてまたゴールに叩き込んだ。

私こんなとこで何やってんだろ…。

ぼんやりと大迫を眺めていたらふいに声が聞こえた。
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