キライ
『げっ…!』

つい、内心で叫び声を上げた。

先生でも困るけど、大迫も困る。

困惑と嫌悪の混ざった顔の私を見て大迫が言った。

「これ、探してんだろ?」

大迫が目の前にぶら下げているのは私の携帯!

スカートを払って立ち上がった私は大迫を見上げる。

「机の上に置きっぱなしだった」

帰る時に置いたのをそのままにしてたのか…。

「あ…、ありがと…」

返してくれるものと思い、気は進まなかったけど一応お礼を告げて、手を伸ばすと大迫は携帯を高く持ち上げた。

ムッとした私は声に怒気を込めた。

「返してよ」

ニヤっと笑った大迫は、私のブレザーのポケットに携帯を入れた。

「この貸しは高くつくからな」

はぁ?
拾った物を持ち主に返すのに何を恩着せがましい事を!

私はプイっと踵を返して無言で教室を出た。

あー!もー!
大事な携帯に大迫が触るなんて!

ポケットからそっと摘み出してハンカチでゴシゴシ拭いた。
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