キライ
「大迫くん?」

体育館の入り口でマネージャーがこちらを窺っていた。

「何してるの?」

私をチラっと見て大迫に訊く。

「ん?ちょっとね」

あぁ!
こんな空気耐えられない!
するならさっさと告白しちゃって! 

二人に背を向けて目を閉じる。

「もう閉めちゃうんだけど…」

マネージャーが困惑した様子で大迫に問いかける。

「あっ、俺閉めとく。伊藤は帰っていいよ」

えっ?

でも…とか何とか言っていたマネージャーを帰し大迫は鍵を預かった。

今、告白しないの?!

拍子抜けして体の緊張が解けた。

入り口の鍵を中から閉めた大迫が小さく呟く。

「これで邪魔者は入ってこれないっと」

振り向く私に大迫がいつになく真剣な顔を向けた。

「篠田香奈さん」

大迫が近づいてくる。

私はその場に張りついたようになって動けない。 

「ずっと好きだった。今度は本物のカノジョになってくれませんか?」
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