キライ
え?私? 

キョロキョロと周りを見回し、私と大迫しかいない事を確認する。

「私に…言ってん…の?」

「ここには俺とお前しかいねーだろ」

少し顔を赤くした大迫は私の額を指で弾いた。

「たっ!」

額の痛みと大迫の告白に涙が滲む。

「いつも意地悪で…偉そうだしすぐ叩くし、いつか絶対泣かしてやるって思ってた。それなのに反対に泣かされてばっかで…」

「悪かったな…」

私の頭を優しく撫でる。

「キライでキライで…大迫だけは絶対好きにならないって思ってた」

「俺がキライ…か?」

頭の手が止まり力ない哀しげな声が体育館に響く。

私は目の前にいる大迫に腕を伸ばし、ギュッと抱きついた。
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