キライ
「う…わっ!」

大迫が驚いた声を上げたけど私はかまわずしがみつく。

「篠田?」

「廉っ…!好きっ…」

「香奈」

廉は私の頬を両手で挟んで涙を拭ってくれた。

「気の強いとこも、人のいいとこも、ちんちくりんなとこも全部好きだよ」

「ちんちくりんは余計だよっ」

私は廉の背中をつねった。

「てーなー」

抗議する廉にすました声で言ってやる。

「今までのお返し」

「減らず口にはお仕置きだ」

前みたいにまた頬をつねられると思い、思わず目を閉じた。

唇に軽く何かが触れ、それが廉の唇だと思い至るまで数秒かかった。
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