キライ
涼子にはメールで携帯は見つかったと連絡しておいたけど、誰が拾ったかまでは話さなかった。

大迫の名前を出すのも嫌だったし。

それなのに大迫が自ら涼子にバラした。

「こいつ、間抜けにも携帯を机に置きっぱで帰ってんの。拾ってやった俺って親切だよなー」

ふんッ!
私には貸しは高くつくとか言ったくせに涼子の前ではいい人ぶって。

「大迫って親切ー」

ブスッとした私に構わず涼子もにこやかに大迫と話を合わせているのが気に食わない。




大迫が去った後、涼子は嬉しそうにほんのり頬を染めている。

「いやー、やっぱ大迫ってカッコいいよねー。毛嫌いする香奈がわかんない」

あんな奴に頬を染める涼子の方がわかんないっつーの!

「大迫ってモテるんだよー。部活でも女の子がキャーキャー言ってるもん。ねー今日ちょっと見に行かない?」

「はぁ!?冗談止めてよ!私は嫌だ!」 

「いいじゃーん。私に付き合ってよー」

嫌がる私に、1人だと心細いだの、寂しいだのと泣き落としで攻めてくるから、根負けした。

「一度だけだからねっ!二度目はないからね!」

うんうんと嬉しそうに頷く涼子に深いため息が出た。
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