キライ
海はすでにたくさんの人出で砂浜のあっちこっちにパラソルの花が派手に咲いていた。

着替えを済ませた香奈が更衣室から出てきた時、俺は言葉を失った。

か…可愛いっっっっ!!!

赤に白の水玉のホルターネックのビキニのトップに同じ柄のミニスカート。

まだ日焼けしてない白い肌に赤がめちゃくちゃ映えて目立つ。

口をホケーっと開けて見つめる俺に香奈は羽織ったパーカーの前をかき合わせる。

「廉!口!」

全くもう!と頬を膨らませて俺を睨むが全然気にならない。

海って素晴らしい!

海ってサイコー!

惚けた俺の手を強引に握った香奈は砂浜へと歩いていく。

二人分の空いてるスペースを確保して香奈の持ってきた浮き輪を膨らませる。

「行こっか」

「うん。あっ!」

香奈がポーチをゴソゴソ探ってサンオイルを取り出した。

「どうせ焼けるならキレイにね」

オイルを身体にのばす香奈の手がふと止まり俺を上目遣いで見上げる。

「あ…のさ。背中…塗って…?」

すぐに視線を逸らしてサンオイルを俺に押しつける。
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