キライ
何とかオイルを塗ると香奈が俺に向かって手のひらを差し出す。



首を傾げる俺に向かって香奈が小さく呟いた。

「廉も…塗ってあげる」

香奈の肌に直に触れただけでも感激なのに、この上香奈が触れてくれるとは!

心の中で盛大にガッツポーズをして香奈にオイルを渡した。

「お願いします…」

クルッと背を向けると香奈のひんやりした手が俺の背中を撫でる。

「廉って…やっぱ男の子だね」

「どーゆー意味?」

「いやっ…あの…背中がおっきくて…ガッシリしてて…」

俺の問いに慌てる香奈が面白くてちょっとイジメたくなった。

「惚れ直したろ?」

「バカっ!ほら!後は自分でやって!」

オイルを押しつけて香奈はそっぽを向く。

こうやって照れるとこが可愛いんだよなぁ。

「よし、行こっ!」

香奈の手を握って波打ち際に駆け出した。
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