君と繋いだ手
「もう…………」
胸ポケから
メモ帳を取り出して
番号を書いて破る。
「はい!!!
悪用禁止ですからね!!!」
檜葉さんに突き付けると
パァっと表情が明るくなった。
「しないしない!!!!
そいつね、榎本ってゆーから!!絶対電話でろよー!!?」
上機嫌で走っていく檜葉さん。
榎本…聞いたことないなぁ…
てか若い人なんて居た?…
あぁ…
でもあの人は
若そうだなぁ…
入社当時から
ずっと気になっていた人が居る。
作業服が似合ってて
ちょっとだらっとした感じに
いつもベルトに下がってる鍵の束がチャラチャラと音をたててる人。
後ろ姿しか見たことないけど…
その人だったら…
なーんてね!!!
誰だとしても
恋愛感情はもてないと思うけど…
私みたいな子供相手に…
身長も153センチから伸びず、顔も幼いせいか、よくバイトに間違われる。
10代も私1人だし
そのせいか
おじさんとかが寄ってくる…
よくしてくれるのは
すごく嬉しいけど、
作り笑いをする私が居て
疲れる…