運命の恋～先生を抱きしめたい～

夜、喉が渇いて下に降りようとすると
母の泣き声が聞こえた。



「これを押したら
私とあなたの生きてきた道のりは
全て思い出になってしまうのね…」



「すまない・・・・」



「何がいけなかったの？
私が欲張りだったから？
家庭も仕事も男みたいに欲しがったから？」



「君は優秀な医者だよ。
俺よりも・・・・仕事の面では
俺は大人になれなかった。
君が活躍するたびに俺の心は荒んだ。
見守るところか嫉妬ばかりして……
家庭的じゃない妻に失望した……
君が生きるところは
家庭じゃない
医者としてなんじゃないか？」



「小さい頃、母が亡くなったわ。
苦しんで痛い痛いって言いながら……
あの時誓ったのよ。
母のような人を助けたい
そう思って医者を目指した。
だから…絶対に手を抜きたくなかった
それがあなたを失う原因になるなんて……」



「紅のこと頼むよ。
バックアップはなんでもする。
紅に軽蔑されてしまったから
俺への罪は
紅を傷つけてしまったことだ。」



「私は…母親にはなれないわ。
だからあなたはイヤだったのね。
紅がグレた時も
私は逃げていた。
あなたが何度も学校に
足を運んだりしてたけど
私は母親失格よ。
これからどうやって生きて行ったらいいの？
自分のことだけで一杯なのに……」


母の言葉が胸を刺した。



大人になるって
あきらめることなのかな・・・・