運命の恋~先生を抱きしめたい~
母は家を処分して
マンションに住もうと言った。


「ふたりじゃ大きいでしょ?」


私もそう思った。



「ママ・・・
私一人で暮らしたいんだけど」



母は驚いた顔をした。


私は知っていた。
母は世界で何かがあるとテレビに
かじりついて
医療の現場を見ていた。



「同じ医者としてこの人たちのしてること
すごいと思うのよ。
これが医療だって・・・・」




災害現場に駆け付ける
医療チームを見ながら
母はつぶやいた。



「一人だったら絶対行くわ。」



一人ごとのように
聞き逃していたけれど
母が立ち直って行くのには
仕事しかないんだ



私はそう思っていた。
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