運命の恋~先生を抱きしめたい~
「紅、錬くんには会っていかないのかい?」


父が聞いた。



「さっきね、真理子さんのお墓で
すれ違ってついつい声をかけてしまって
後悔してるとこだよ」



「気がついたのか?」


「多分ね・・・・・」



「じゃあ私のところに来るな…
錬くんは毎月のように
やってきてはおまえの様子を
聞いて帰るんだ。
『元気にやってるようだよ』って
答えると安心した顔で
帰っいく…だから私は
毎月錬くんに会ってるんだよ。」


私は胸が一杯になった。


「心配してくれてるんだね
先生・・・・・」



「それはそうだよ……
錬くんはそういう男だよ」



「アメリカにたつまえに
一度会ってみたらいいのに…
錬くんの心も落ち着くだろうに…
心配してるから・・・・」



 わかってる


「先生に会ったら
先生を苦しめるから会わない。
同情されたくないから……」



父と母は顔を見合わせて
ため息をついた。                                                 
< 307 / 427 >

この作品をシェア

pagetop