MY プリンセス
奇襲
*
そう思ったばかりなのに…
「よう、女」
な、何でこの人たちが?
朝、家を出ると家の前に昨日の二人がいた。
無理だと感じながらもあたしは二人の前を通りすぎようとした。
ガシッ
「―――…ッ」
強い力で手首を掴まれた。
振り向くと、晃という人があたしの手首を掴んでいて、もう一人の方は何が楽しいのかニコニコと笑っている。
「今日は、昨日みたいにはいかねぇぞ」
と笑いながら、でもあたしの手首を掴んだまま言った。
「は…、離してください…」
小さな声であたしが言うと手を離してくれた。
「あの、なんで…」
言いたいことがうまく言えない。
「あのなぁ、俺の名前は『あの』でもなく『なんで』でもなく更科晃っつーんだよ!」
いや、名前を呼びたいわけじゃないんだけど。
「そして僕は祐。晃の双子の弟なんだ」
いや、はい。だから名前は昨日聞いたんですよ。
「あの、なんで家の前にいるんですか?」
恐る恐るたずねると、バカにしたように鼻で笑って
「“私のお姫様”だから」
二人で声を揃えて言った。
「私達のことは晃、祐とお呼びください」
「晃さん、祐さん?」
冗談めかした言い方だったのだが、あたしは思わず真剣に返してしまった。
「気にくわねぇ…」
ポツリと晃という人が呟いた。
「なんで俺らタメなのに『さん』付けで敬語なんだよ…」
同じ一年生だったんだ…