ドライヴ~飴色の写真~
「田中先生。あれから、そうさの方はどう?」

 教習の最後に、十雨くんが聞いてきた。

「うん、すごく上手だよ。問題ないよ」

「操作じゃなくて捜査ね」

 十雨くんはくすっと笑った。

 え、ああ。そっちのことか。メンゴメンゴ。

「…篠さんが、たぶん今も犯人を見つけるためにがんばってると思うよ」

 はたして自然に言えただろうか。

「探偵さん、今日は教習所には?」

「今日は…来ないんじゃないかなあ…」

 私が言うと、十雨くんは小さい声でふうんと言った。

「十雨くん、仮免試験の方も大丈夫でしょ?」
 私は、どうやら話をそらしたかったみたいだ。

「さっき効果測定受けたら、98点だったよー。悔しかったなあ」

「すげえ!」

 思わず、あの50点おじさんを思い出していた。

「…来週、検定がんばってね」

 私は笑って彼に言った。
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