ドライヴ～飴色の写真～

「先生、今日元気ないね。その顔といい」

「顔のことはいいんだよ」

「なにかあったの？」

　…この子は、本当にするどいなあ。

　かといって、本当のことを話すことはもちろんなく「そんなことないよ！えへ！」と舌を出すと、十代の男の子の明らかにどん引く様子を目の前で見ることができた。

　でも、突然彼はころっと表情をかえた。

「田中先生は、もとが綺麗なんだから。自信持った方がいいよ」

　十雨くんが、澄んだ綺麗な瞳で私を映した。

　こんな年下の子に励まされるなんて。
　ダメだな、私。

　でも、落ち込むのと同時に、こんな私を気遣ってくれる彼に、心がほわっと温かくなるのを感じてもいた。

　篠さんの力を借りなくても、私一人でも原田さんのストーカー犯を探すよう努力しなくては！

　再び、私の中に使命感が激しく芽生えた。