ドライヴ~飴色の写真~
 今日は、なんだか盛りだくさんだ。

 なんと、午後イチの教習に、轟広道くんが入っていた。

 篠さんが、一度、彼のことを気にしていた。
 悪いが個人情報も調べさせてもらった。

 実は、私は轟くんと接触するのは初めてだった。

 正直、なかなかパンチの効いた見た目で、存在は知っていたが、彼の人間性については噂でしか聞いたことがない。

 事件と関係あるかもしれない。
 事件と関係ないかもしれない。

 先入観や偏見を捨てて、教習を行う。
 それがワイのポリシーや。

「はじめまして、田中です!」

 私はいつもどおり、勢い良く運転席のドアを開けた。

 さすがに、もう顔の浮腫みもだいぶ緩和されたろう!

「はじめまして、田中さん。轟と申します。おっ、おやおや! だいぶお顔が浮腫んでおりますね。ははっ。まあ、ワタクシほどではありませんがね。はははっ」

 なんだこいつ。
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