ドライヴ~飴色の写真~
 轟くんも、うんまあ、なかなか運転は良かった。

 どうも運転操作より、彼の一挙手一投足の方が気になって仕方なかったのだが。

「おっと、田中さん! あそこに見えるのは一時停止の標識じゃあございませんか」

「うん停止線の直前だいたい1メートルぐらい手前でしっかりピシッと止まってねー」

「合点承知! スチャッ」

 始終こんな感じだった。

 これで18歳っていうのがなんだか本当すごい。

 だんだん、私はすごく純粋に彼のことが気になってきた。

「轟くんは、普段何してるの?」

「おっと、田中さん、雑談ですね。ワタクシは普段時間がある時などは、おもに散歩をしております」

「散歩?」

「そうであります、散歩しながら草や、石ころや、アスファルトや床の写真を撮っております」

「なんでそんな下ばっか撮ってんの」

「田中さん、一番地球に近いものはなんだとお考えですか? それは、地! あ、見通しの悪い交差点であります。ここで徐行、断続クラッチですね」

「うん、おー上手上手ー」

 今の時間、私、必要?
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