ドライヴ~飴色の写真~
「ただいまー」

 私はそう言ってソファに腰をかけた。

 篠さんが向かいに座った。

「おかえり、なぎさん」

 私は、篠さんの顔を見た。
 とても、優しい表情だ。

「篠さん…よく犯人が十雨くんだって気づきましたね。あの暗号、絶対篠さんには無理だと思いました」

「オレは暗号でわかったわけじゃない」

「ですよね! やっぱり! えっ、でもじゃあ、なんでわかったんですか」

 篠さんは一瞬不満そうな顔をしたが、咳払いをして、話し始めた。

「なぎさんのもとに送られてきた写真には、制服姿が全くなかったのがずっと気になっていた。

 制服で写っている写真は犯人が持ってると考えた場合…なぎさんの制服姿にこだわっている人物、と考え始めたんだ。

 その頃から、一つ、あることが気になり出したんだ。

 ほとんどみんながなぎさんのことを、田中さんと呼ぶのに、たった一人だけ、必ず<先生>と呼ぶ人物がいた。

 それが十雨良人だった」
< 131 / 137 >

この作品をシェア

pagetop