ドライヴ~飴色の写真~
飴色の写真
古い家だった。
ただ、何十年経ってもやはり美しいと、いつも改めて思う。
彼は、畳などはあまり好きではなかった。
螺旋状のきしむ階段も、とてつもなく大きく音を立てて開くドアも、夜空を型どったステンドグラスも、全てが愛おしかった。
だが、今はあまりその事は考えなかった。
彼は、もっと愛おしいものを見ていた。
沈みかけの夕日に照らされ、飴色に輝く写真。
まるで、あの日のようだ。
まるで、あの日のまま、あの子達は笑っている。
夕日よりも、ずっとずっと輝かしい笑顔は、何物にもかえがたい。
ふと、写真立ての装飾に日の光があたり、一瞬目が眩む。
老人は目を細めた。
少し経ち、またシワだらけの瞼をゆっくりと上げる。
大きく、つぶらな漆黒の瞳。
小さいながらも形の良い鼻。
可愛らしい笑窪と、愛らしい唇。
そして、焦げ茶色のまっすぐ伸びた美しい髪。それはもうすぐ腰まで届きそうだ。
そこには、やはり、この二人の少女の、眩しく悲しい笑顔がそこにあった。
《飴色の写真・完》
ただ、何十年経ってもやはり美しいと、いつも改めて思う。
彼は、畳などはあまり好きではなかった。
螺旋状のきしむ階段も、とてつもなく大きく音を立てて開くドアも、夜空を型どったステンドグラスも、全てが愛おしかった。
だが、今はあまりその事は考えなかった。
彼は、もっと愛おしいものを見ていた。
沈みかけの夕日に照らされ、飴色に輝く写真。
まるで、あの日のようだ。
まるで、あの日のまま、あの子達は笑っている。
夕日よりも、ずっとずっと輝かしい笑顔は、何物にもかえがたい。
ふと、写真立ての装飾に日の光があたり、一瞬目が眩む。
老人は目を細めた。
少し経ち、またシワだらけの瞼をゆっくりと上げる。
大きく、つぶらな漆黒の瞳。
小さいながらも形の良い鼻。
可愛らしい笑窪と、愛らしい唇。
そして、焦げ茶色のまっすぐ伸びた美しい髪。それはもうすぐ腰まで届きそうだ。
そこには、やはり、この二人の少女の、眩しく悲しい笑顔がそこにあった。
《飴色の写真・完》