ぶたさん3
 固定された右手の先端に刃がかかったときも、まったくいたみは感じませんでした。 ただ、すさまじいしぶきを上げながら、せんぷうきのようなそれが、右手にグイグイ食い込んでいく映像を見ているだけです。 そしてその激しさとは裏腹に、キレイに削ぎ落とされていくぶたさんだった部分は、はたから見たら何かのジョークみたいでした。

 ん? ボトリ、とトレイの上に切り落とされたあれは、小指だろうか。 いや、おや指だったかな。 自分の手を見ても真っ赤な映像が映るだけで、それがどの部分だったのかすら、今のぶたさんには理解できないでいました。
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