僕の唄君の声
(玲視線)
「マー、メイ‥ド」
英語で書かれていた題名を読み、パラパラとページを流せば、英語で書かれた人魚姫の絵本だった。(英語は得意科目だから、意外と読めた。)
「‥、っ」
ページをめくる毎に目を奪われるのは、水彩画のように描かれた挿絵だった。
ガチャ、
「ふぅ、‥いい本あった?」
夕飯を食べ終えたのか、壱葉が部屋に入ってきた。
「ん、‥あぁ」
「‥人魚姫」
「あぁ、‥綺麗だな」
「ふふ、でしょ?お婆ちゃんの本なの」
「へえ、すげェな‥」
「小さい頃からの宝物、」
「だろーな」
「へへ、」
会話が途切れてからは、壱葉は風呂の準備をするために部屋の中をせかせかと動いていた。しばらくして、また部屋の中に1人になった俺は、そんなこと気にせずにまた本を読みはじめた。
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