僕の唄君の声


玲を私の部屋に案内して、夕飯を食べていたとき、前触れなくお婆ちゃんに話し掛けられた。

「なんだか、ニヤニヤしてるわよ」

「え、うそ」

「嘘っぽ吐いたら、得ある?」

「ないでーす」

「ふふ、で?どうしたの」

「んー、部屋にね、彼氏が居るの」

「また急ね。」

「お風呂入ったら、その人ん家に行ってくるー」

「泊まり、かしらね」

「‥多分?」

「無理、しないようにね」

「うん、」



なんだかんだでお婆ちゃんは私がすることに協力的で、いつも助けられてる。お婆ちゃんに育てられた私は完璧なお婆ちゃん子なのだろう。

ちなみに、お婆ちゃんの外見は、普通のお婆さん達と比べるとかなり今時な感じだ。でも無理もしていない感じに仕上がっているので私はかなり好き。(65歳には全く見えない。)


大好きな肉じゃがも食べ終わり、置き去りの玲のところに行けば、人魚姫を読んでいた。

うん、ギャップ。


少し話してからお風呂の準備をしていれば、ベッドからはブツブツと玲の声がした。本人は全く気付いてないみたいだが、英文を読んでいるようだ。


「お風呂入ってくるねー‥」


うん、聞こえてない。


あ、今日の泡ブロの香り何にしよ。



「‥ミントかな、やっぱ」



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