僕の唄君の声



(玲視線)


「、はー‥」

本を読み終えて、凝った関節を伸ばすように伸びながら息を吐く。ふと壁にかかっている時計を見れば、壱葉の家にきて40分くらいが経っていた。


することもなくスリッパをカポカポさせながら部屋を歩いてみる。やはり、いくつになっても人の家というのは未知で、柄にもなく楽しくなったりする。


ガチャ、リ


時間はそんなに経っていなかったと思う。扉が開く音がして目を向ければ、なんともファンキーな婆さんがいた。(他人から見れば俺もファンキーなんだろうか。)


「‥ども」

「こんばんは。壱葉の祖母です。‥玲くん、よね?」

「え、あ、はい。」


なんというサプライズだろうか。
こんな早い段階で家族と対面とは何とも気まずい。壱葉は俺をどんな風に言っているのやら。むしろ言ってないかもしれない。(ファンキーだしな!)(奏、うるせェ。)


「少しお話、できるかしら?」

「俺なんかが相手で良ければ‥?」

「あら、貴方だから話しに来たのよ」

「あ、すいません。大丈夫です。」

「そう、良かった。早速だけど、壱葉のこと知ってる?」


急に飛んだ話に頭を回転させる。
壱葉のこと、とはきっと昔のことだろう。



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