僕の唄君の声
抱きしめられて、何分経ったのかは分からない。5分かもしれないし、30分かもしれない。分からないけれど、きっと私たちには大切なきっかけとなる時間だった。
「わりィ」
「私こそ、ごめん」
「ははっ、何がだよ?」
「っ‥いひゃい」
「そうしてんだよ」
「こ、の!」
「っう、わ」
スルリと離れて行った熱を感じながら謝り返せば、その理由を問われた。
何故と言われても無意識に出た言葉の意味など理解できなくて、黙り込んで考えていれば頬を引っ張られて笑われた。
痛いって主張してんのに頬っぺ引っ張り続けて、揚げ句笑うって何さ!
と思った私はベッドに座っていた玲を思い切り後ろに張っ倒した。(それでも瞬時に肘をついた玲は、もう人間外と見なそう。)
そして現在、私は玲のお腹の上に座って玲を見下している。(ふふん。)
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