僕の唄君の声

(玲視線)


なんだろう、壱葉が可愛い。


どこが好きかとか俺のことを知らない、とか。

じゃあ友達からやり直すか
そう言った。そしたら焦った、すごく。


「いいいい、い、今の質問無しね」

「ははははっ!お前焦りすぎ」


素直に笑えばびっくりした顔で壱葉はこちらを見ていた。

なんだか無性に恥ずかしくなって頭を撫でるようにぐしゃりと壱葉の頭に手を置き、真っ赤になったであろう自分の顔を隠した。




「‥‥っ」

「‥」

「‥榊下さん榊下さん」


しばらくしてからクイクイ、と俺の黒いセーターを引っ張る感覚がして、「んー?」と空返事のように声を返せば、ぎゅうう、と思い切りセーターを掴まれた。


「ぅお、‥どうしたよ」

「‥えっと、」

「んー?」

「あの、‥好きだなあって」

「‥はい?」

「いや、だから玲のこと好きだなあ‥
ってぎゃああっ」



壱葉が急に可愛いことを言い出すもんだからセーターを掴んでる壱葉の手を思い切り引っ張り、こっちに倒れるように仕向けた。


ポスン、
「もうちょい可愛い声出せよ‥」

「ごご、ごめん」

「うん、許す」

「ていうかこの状態、は?」

「道端でぎゅうってしてる」

「‥ははは、はな、離して!」

「ははっ顔真っ赤」




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