僕の唄君の声


しかし、一瞬だった。


「家ん中入るか〜」



そう言った玲は優しく笑いながら、
私の手を取って玄関へと歩を進めた。


さっきの表情が気になって、でもその理由を問えない自分に腹が立った。
いくら自分に腹を立てても、意味など有りはしないのに。


そんな感情を抱きながら、今から入る建物、要は榊下宅にジトリと目を向けた。



「‥でか」


感想、榊下宅は大きかった。


「まあそりゃあな。」

「え、どういう意味それ」

「入れば分かる。」

「え、ちょ‥っ!」



そのまま玲は意味ありげなにやりとした笑いを私に向けて、玄関へと私の手を引っ張った。



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