僕の唄君の声

(玲視線)


「あー‥、大好きな人」


甥っ子である凪(なぎ)に問われて、壱葉への悪戯も兼ながら素直に答えれば、凪はかのじょだー!とか騒ぎながら肩から降ろせと言わんばかりに足をバタバタさせた。



「凪!てめェやめろ!痛ェだろうが!」

「怒った怒った!」

「なあああぎいいいい!」


即座に凪を肩から降ろして、高い声で笑う凪に襲い掛かるように追い掛けるポーズをとる。

そうすれば来たときのように凪はダッシュで廊下を走っていった。




「‥な、な‥‥なな‥!」


走り去った凪を見ながら、気怠く乱れた髪をかき上げると、口をパクパクさせながら俺を見る壱葉が目に入る。


「ん?」

「よく、あああんな恥ずかしいこと‥!」

「ああ、あれね」

「〜〜〜っ」

「照れない照れない」

「て‥っ!照れてない!」




かーわいー、と呟きながら家に上がるように促せばセーターをグイッと思い切り引っ張られた。



「照れ隠し?」

「ち、ちち違う!」



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