僕の唄君の声


「あ、壱葉ー!」


ダンダンッ!というバスケットボールの弾む音と混ざりながら華己の声がしたので、華己の姿を探してみるとまたまたびっくり。

得点板の近くに並べられている選手用の椅子に華己が座っていたのだ。明らかにそんなところにいたらこの甘ったるい声の持ち主さん達に目をつけられるのは分かりきっているのに、堂々とそこに座る華己に感心した。


「あ、玲!壱葉ちゃん来た!」


突然、聞き慣れない声に名前を呼ばれ反射的に華己から目を離して辺りを見渡すとだんだん近付いてくる人影を捉えた。その人物は紛れも無く私を此処に招待した榊下だった。


「こんにちは…?」

一応、あまり親しくないから挨拶からってことで。一応初対面的な感じあるし。

「ども。」

え、それだけ?なんか勇気振り絞って挨拶した私が馬鹿っぽい。


「バ、バスケ部なんだ」

「…あぁ。」

何故吃ったんだ、私の口!
なんか向こうもなんで?みたいな顔してんじゃん!ていうか、周りの女の子の視線痛い!



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