僕の唄君の声
2
「壱葉ー!大丈夫?」
意識を9割程手放しかけていたとき、いつの間にか私の目の前に移動していた華己に声をかけられた。
「…!な、何が?」
「何って、さっき突き飛ばされてたじゃん。後ろの子に」
「え、そうなの?だからコケたのか、私。」
「気付いてなかったの?まあ、いいや。おいでよ。」
気付いていなかった事実に驚きながら、華己に疑問を投げ掛けると、はあと溜息をつかれながら手を引っ張られた。
「何処行くの?」
「ベンチに決まってる。」
「やだよ、目立つじゃん。」
「大丈夫だよ!私が座るのは奏輔くんのとこだし、アンタが座るのは玲くんのとこ!」
それが目立つって言ってるのに。
「はい到着。」
「やだ、座らない!」
「壱葉ちゃん、そんなこと言わないでよ〜」
突然の第三者の声に驚き、声のした方に向き直る。
「奏輔くん!」
「はろ〜、華己ちゃん。」
私がその人物を認識したと同時に、華己がその人物の名前を叫ぶ。
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