僕の唄君の声
(玲視線)


「ぶはっ!玲マジで嫌われてやんの。」

「……うっせェはげ。」

「お前のが髪短いくせに」


奏輔にゲラゲラ笑われながら、体育館を後にする奏輔の好きな女の友達を視界に入れる。

くせっ毛なのか少しうねりのある黒い長髪、制服も程よく着崩してある。何よりも意志の強そうな目つき、それと同時に男に恐怖心を抱いているような瞳が気になった。


「若いね〜」

「う、わ!」


突然、背後から声がして柄にもなくビビる。反射的に振り向くとそこには顧問のケンちゃんがいた。


「ケンちゃんかよ…イダッ」

名前を呼ぶと即座に頭にげんこつが降ってきた。地味に超痛ェし…。


「ケンちゃんじゃねェよ謙次先生様だろ?」

「おっさんのくせに…痛゙ァアッ」

耳を思い切り引っ張られ痛さに思わず声をあげる。


「ごめん、よく聞こえない」

「なんでもねェよ!」



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