僕の唄君の声



ピピピピ

「ん゙〜…」

ピピピp…

「………眠。」


いつもと同じ時間に同じ音が鳴る時計のスイッチを止め、上半身だけを起こし伸びをした。


いつものように支度を済ませ、急ぎ足で学校への道を歩き、学校へ着けば華己が手を振りながらおはようと挨拶を告げた。


「おはよー」

「あ、壱葉ちゃんおはよ!」

「おは……え?」

「あはは!壱葉ちゃん顔ウケる!」


いやいや、ウケる!じゃないよ。何で違うクラスの人がここにいるわけ。


「初めてじゃないけど、初めまして!菊田奏輔(きくたそうすけ)って言います。奏輔って呼んでね!」

「奏輔ね、じゃ。」


朝の働かない頭がマシンガントークにうまくついていかなかったが一応、確認のために名前を呼び別れを言う。


「おい。」

奏輔ではない誰かの低い声がして視線を声の持ち主へとずらす。


「あ、……榊下だっけ。何?」

「……べ、つに。」

「……ねぇ、用ないんだよね。」

「……あぁ。」

「そう…。じゃあこの手は何。」


何なんだこの男は。用がないと言っているくせにものすっごい力で人の手首を握っている。意味が分からない。



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